蒼穹の昴 2
西太后、といえば、悪名高き鬼女帝。
だが、本書のそれはちと違うのだ。
苦悩する一人の人間。 時に、亡霊に話しかけたりもするのだが。
一族の、葉赫那拉(エホナラ)の呪いが、彼女を苦しめたのか。
浅田次郎 著
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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春児、開眼。
春児は愕きのあまり、その場にへたりこんだ。
「おいら、とってもできねえよ…」
「何を言ってやがる。手足の揃ったおまえにできないことはひとつもない。人間はできないと思ったら、まっすぐに歩くことだってできやしねえんだ。町に出て、ぐうたら生きているやつの格好を見てみろ。どいつもこいつも、野良犬みてえによろよろと歩いてやがる。胸を張って、しっかり前を見ながら歩くことが、一番むずかしいんだ」