三国志 第五巻


第五巻を読みながら、レッドクリフに描かれない場面がいくつもあることを思い出した。
レッドクリフが、赤壁の戦いの全てとは思う無かれ。


しかしながら、三国志上の一大決戦として語られるその戦いが、魏呉蜀の三国時代に向かう、大きなターニングポイントであったことは事実。
その大計、天下三分の計は、諸葛孔明の掌の中にあるわけだが・・・。


レッドクリフでは、孔明に扮する金城武は、草原の上で白羽扇を仰いだ、だけ!?
であったが、、、、泣。;;


 ---吉川三国志での天才軍師の活躍は、白羽扇を仰ぐこと限り無し。




<第五巻の(kanjin78的)名場面>


 攻むる北軍曹操100万。対するは、南軍3万。果たして、何をもって彼を制すのか。
 計るのは、大都督周瑜。 諸葛孔明と共に。



「なんのなんの、足下は江東の豪傑、碌々たる鈍才孔明ごときが、お教えするなどとは思いもよらぬ。僭越です。良策など、あろう筈もない」
「由来、先生はご謙虚にすぎる。どうかそういわないで胸襟をおひらき下さい。---先頃、この魯粛を伴うて、暗夜、ひそかに江をさかのぼり、北岸の敵陣をうかがいみるに、水陸の連鎖も完く、兵船の配列、水塞の構築など、実に法度によく叶っている。あれでは容易に近づき難い---と、以来、破陣の工夫に他念なき次第ですが、まだ確信を得ることができないのです」
「・・・・・・しばらく、語るのをやめ給え」と、制して孔明もややしばし黙考していたが、やがて、
「ここに、ただひとつ、行えば成るかと思う計がある。・・・・・・が、都督の胸中も、まったく無為無策ではありますまい」
「それは、自分にも、最後の一計がないわけでもないが・・・・・・」
「二人しておのおの掌のうちに書いて、あなたの考えと私の考えが、違っているか、同じであるか開き合ってみようではありませんか」
「それは一興ですな」
直ちに硯をとりよせると、互いに筆を分ち、掌に何やら書いて、
「では」
と、拳と拳を出し合った。
「いざご一緒に」
孔明はそういいながら掌をひらいた。周瑜も共に掌をひらいた。
見ると---
孔明の掌にも、の一字が書いてあったし、周瑜の掌にも、の字が書かれてあった。




吉川英治




三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)

三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)




ためになる指数 ★★★☆☆
おもろー指数  ★★★★★




赤壁の戦いの醍醐味を知りたければ、第五巻を開け!><b