FLY,DADDY,FLY (フライ,ダディ,フライ)


小説を読むに限る。
こんな時は。


泣けた。
ひと夏の、47歳サラリーマンの冒険譚。
生気が甦るのは、必死で頑張る人の姿を見た時。


いつも疲れ顔のコンビニの店主が見た、鈴木一の必死さ。



土日以外は毎日同じ時間に背広姿で店の前を駆け抜けていく風変わりな中年男のことを、実は気に留めていてくれたのかもしれない。店主の前を駆け抜ける寸前に、店主に向かって左手を上げた。見返りを求めていたわけではない。それは咄嗟の反応だったのだが、店主は軽快な反射神経で右手を上げ、私の会釈に応えてくれた。それも、顔に薄い笑みを浮かべながら。その笑みが追い風のように、私の背中を押した。


フライ,ダディ,フライ

フライ,ダディ,フライ




とにかく、飛びたかったら、まずはしっかりと地面に立つことから始めるんだ。




飛べ。




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