諸葛孔明 下


彼は、なぜ、
天下を三分にしなければならなかったのか。


陳舜臣が加える、諸葛亮孔明の真意。


天才軍師ならぬ、平和を愛した宰相、
その、人としての思いとは。




深い。
この語りつくせぬ物語は、人の数だけあるということか。




陳舜臣


諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)




kanjin的名場面は、
諸葛亮孔明成都自宅での、とある青年との一幕。



「そのとおり、おまえは伯苗に似て、相手の心がよくわかる男なんだ」
「そうですかねぇ・・・」
「すくなくとも、相手の心がわかろうと、努力している」
「いえ」朗はこんどは首を振った。―「あっしにゃ、旦那さまのお心なんて、さっぱりわかりませんだ」
「いや、わかろうとしている。いまはわからないかもしれないが。・・・そうではないか、おまえはそのために来たのだろうが?」
孔明はそう言って馬をとめた。彼はそのつもりであったが、じつは朗がさきに馬をとめ、その反射作用であったのだ。
二人は馬上でしばらく顔を見あわせた。長身の孔明のほうが、やや高いところから、朗をみつめた。朗は孔明の視線を、がっちりとうけとめている。
「朗よ、もとの名を名乗れ」
と、孔明は言った。表情はいくらかきびしかったが、声はやさしかった。
孟獲
と、朗と名乗っていた男は答えた。




ためになる指数 ★★☆☆☆
おもろー指数  ★★★☆☆




浮屠。


三国時代、時は、西暦200年。
この小説に登場し、諸葛孔明に三国各地のあやゆる情報を運んでくるのは、浮屠(ふと)、浮図、仏図---Buddha教徒。
陳舜臣曰く、彼の情報網は仏教徒であったとする説。


孔明その人の思考回路には、紀元前は春秋戦国時代諸子百家の思想に加えて、仏教の境地も含まれていたか。




下巻。
万民の心の安らぎために苦悩した、
男の生き様。




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