宮本武蔵 第一巻


1600年、天下分け目の戦い。 乱軍の中に、その人。


世に知られるその名前は、波乱の幕開けの中に名付けられたものだとは知らなんだ。


吉川英治三国志を読んでいる時に、書評などで、絶賛されていたその本を紐解く。
漫画バガボンドの原作も、吉川英治宮本武蔵とのこと。




俺が知っている彼は、
剣豪、画家、五輪書、二刀流、、。


それ以上なのか、その程度な人なのか、そして、何に生きたのか。
その生き様を知りたい!と思った。




吉川英治


宮本武蔵(一) (吉川英治歴史時代文庫)

宮本武蔵(一) (吉川英治歴史時代文庫)




とある地方。
 ---宮本村の、タケゾウ起つ!




路傍にたたずんで見ているうちに、武蔵は、自分もその粘土を捏ねてみたくなった。彼には、何かそういうことの好きな性質が幼少い時からあった。---茶碗くらい出来るような気がする。
だが、その一人のほうの六十ぢかい翁が、箆と指のあたまで、今、一個の茶碗になりかけている粘土をいじっているのを見ると、武蔵は、自分の不遜な気持がたしなめられた。
(これは、たいへんな技だ、あれまで行くには)
このごろ武蔵の心には、ままこういう感動を抱くことがあった。人の技、人の芸、何につけ優れたものに持つ尊敬である。
(自分には、似た物もできない)
はっきりと今も思う。見れば、細工場の片隅には、戸板をおいてそれへ皿、瓶、酒盃、水入れのような雑器に、安い値をつけて、清水詣での往来の者に傍ら売っているのである。---これほどな安焼物を作るにも、これほどな良心と三昧とをもってしているのかと思うと、武蔵は自分の志す剣の道が、まだまだ遠いものの気がした。




ためになる指数 ★★★★★
おもろー指数  ★★★★☆