ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か


エリヤフ・ゴールドラット
三本木亮 訳
稲垣公夫 解説


ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か




楽天オークションで、価格\50で手に入れた本。
んー、俺にはとってもありがたかったが、\50で手放す理由は無いような本。




副題の、"企業の究極の目的とは何か"
、、何か。




そうだな、
「売上!」「利益!」「従業員満足!」、いや、どうだろう、、「三方よし!」か。
ちなみに、「三方よし」というのは、先週行った研修で会った、ある企業の社長がぼそぼそと呟いていたが、改めて調べて見ると、CSRに近い考え方なのかな。


三方よし・・・商取引においては、当事者の売り手と買い手だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながるものでなければならないとう意味での、売り手よし、買い手よし、世間よしという「三方よし」の理念は、近江商人の経営理念に由来。




で、この本についてだが、
ストレートにCSRは述べていないものの、
会社の課題解決と家庭内不和の課題解決を同時平行に、主人公アレックスが悩みながら、息子とのハイキングを通じて、部下との議論を通じて、恩師との問答を通じて、「わかりません、教えてください!」とか「そうか、わかった!!」とかいって一歩づつ、理解を深めていく、物語。


これまたおもしろいのは、500ページの本を書いておいて、著者があとがきで、今後の課題をぶちまけるのには面食らった。つまるところ、絶対に完璧ではない、永遠に改善されていくのだ!ということか。




一般的に、著者の説く理論は、TOCと呼ばれているらしい。制約条件の理論(Theory of Constraints)。
実は、これを読む前に、思考のボトルネックを解除しよう!というこのブログにもコメントいただいた石川和幸さんの本で、"思考の"ボトルネックの話が頭に残っていたので、対比させて読み進めることができたのはとってもありがたかった。



制約条件の理論とは、あるシステムの目的(ゴール)を継続的に最大化することを狙う、全体的な管理哲学である。もしもそのシステムが営利事業であるならば、そのゴールとは、将来におけるのと同じくらいより多くの金を現時点で儲けるひとつの方法ということになる。By Wikipedia


著者は、従来のコスト会計ではその企業目的を達成し続けるためには適さないのでは?というのを、主人公アレックスとの問答を通じて説く。
売上から費用を引いた利益では、その投資に対する利益率が見えない。(100万円投資して得た1000円と、2000円投資して得た1000円では、どちらがいい?)とか、そもそも、手元に金が無くなって資金繰りに失敗したら商売ができないでしょ、とかといった、純利益、投資収益率、キャッシュフローの話から始まり、『目標はスループット*1を増やしながら、同時に、在庫*2と作業経費*3を減らすこと』そして、それを将来にかけてやり続ける、というような話が続いていく。




 この本の妙味は、苦悩する主人公の、その物語にある。
 TOC理論を理解することが目的なら、巻末の解説を読めば事足りる。




ためになる指数 ★★★☆☆
おもろー指数  ★★★★☆



さて、
古本\50での、投資収益率は、いかがなものか。





<一部引用(俺のレバレッジメモ)>
・部下ボブと、馴染みの飲み屋での一幕。 「マキシン、こっちにあと二杯頼む。いや、やっぱりでっかいのに入れて来てくれ。そのほうが何回も運ばなくていいだろう」
・人を働かせることとお金を儲けることは同じことだと考えてもいいのだろうか。
・純利益、投資収益率、キャッシュフロー、この三つを同時に増やすことによってお金を儲ける。私はノートにそう書き記した。
・ロボットを導入したら、、もっと製品が売れるようになったかどうか(つまりスループットが向上したかどうか)、従業員を減らせたかどうか(作業経費が減ったかどうか)、在庫が減ったかどうかだ。
スループットは、入ってくるお金。在庫は、現在製造プロセスの中に溜まっているお金。作業経費は、スループットを実現するために支払わなければいけないお金。
・従業員の時間はすべて作業経費。
・我々が受け取る価格が、在庫に投資した金額と売る製品一つ当たりの総作業経費の合計より大きくなくてはいけない。
・失ったお金はすべて作業経費で、売ることのできる投資はすべて在庫になる。売ることのできる投資は在庫。減価償却は作業経費だ。


・同じスピードを保つためにハービーは前を行くロンやほかの子供たちよりもエネルギーを多く消費していることになる。
・その子も最終的には自分の前を行く子のペース以上に速くは進めない。
 私たちの歩くスピードはそれぞれの前を行く人のスピードに依存している。
・ハービーの場合、自分自身の変動と自分の前の子供たち全員の変動の合計を補わなければいけない。
・製造プロセスに似ている。私が最後に歩いて、初めて製品が販売されることになる。私の歩くスピードがスループットになるのだ。ロンと私の間の距離はどうだろうか。これは在庫に違いない。仕掛品や部品の在庫なのだ。
・結局は彼が列全体のスループットを決定しているのだ。一番ゆっくり歩く人のペースによって列全体のスループットが決まる。


ボトルネックを通過するフローを市場からの需要に合わせろ。
 ボトルネックは単に現実なんだ。ボトルネックが存在するところでは、生産システムから市場までのフローをボトルネックを使ってコントロールすべきだと提案しているだけだ。
ボトルネックがある場合、工場の能力はボトルネックの能力に等しい。
 ボトルネックの一時間当たりの生産能力=工場の一時間当たりの生産能力。


・人を働かせることと、利益を上げることは別物だとおっしゃるわけですね。
 「リソースを使用することと、リソースを活用することは別だ」という言い方が正しい。


・どうすれば人を説得できるのか、どうすれば古い習慣を取り去ることができるのか、どうしたら新しいことを嫌う人たちや体制を克服できるのかだ。
・会社の組織を作るのに、最初はまず扱う製品ごとに部署を分ける。次に機能別の部署ごとに分け直す。その反対でもいい。今度は、昨日が重複した部署が分散してコストがかかりすぎているという理由で、機能の集中化を図る。10年ぐらいの周期で機能の集中化と分散化を繰り返している。
 会社の社長としては、何をどうしたらいいのかわからないときや会社がうまくいっていないとき、組織の再編を試みるのは常ですから。


・制約条件を見つける。何のポリシーがその問題を引き起こしているのかを突き止める。ボトルネック、ハービーを探す。
 そして、『何を変える』、『何に変える』、『どうやって変える』


以上。


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*1:・・・販売を通じてお金を作り出す割合、入ってくるお金のこと

*2:・・・販売しようとする物を購入するために投資した全てのお金、現在製造プロセスの中に溜まっているお金

*3:・・・在庫をスループットに、スループットを実現する為に支払わなければいけないお金